生命科学科

文献情報等検索法演習 





◎ 自然科学の分野に限らず一般の科学的な研究の進展させる上で、文献情報を効率よく検索・収集することは重要なポイントである。ある発想で研究テーマを発展させたい場合、その研究について、
 

・同じ考え方や手法によって、それまでどのような研究がなされて来たのか
・先人の行った類似の研究業績の中で評価・引用すべきものはどれか
・実験・研究が斬新なもので、新しい独自の発展をしたものなのか、あるいは、
・繰り返しなのか、発展的な内容のものなのか

などを、研究発表の上で明確にすることが求められるからである。

上の図に、その一般的な検索手法の概要を示す。
 

1.きっかけとなる論文を見つける:まず、行う研究に関連する論文、レビュー、教科書的な記載(図中、1996年の論文の例)を見つけることから始める。そもそも、研究アイデアの着想に至るきっかけとなるものであれば何でもよい。
2.以前の研究の中で重要なものを探す模式図内の矢印)次に、その1996年の論文に引用されているものの中で、重要と思われるものを複数拾い上げる(図中、1992年の論文例参照)。その中で、citationの状況を調べ、同分野の多くの研究論文に共通して引用されているもの(評価の高いもの)を見つける。レビューや教科書には、著者の独自の解釈や見解が記述されていることも多い、その中には一般的には間違いとされている内容や仮説もあり得る。そのため、できるだけ実験的なデータを直接扱った原著論文を見つける努力をするのが望ましい。往々にして、原著論文には実験データや観察の詳細な記載はあるものの、それに対する断定的な解釈や考察は極力避けている場合が少なくない。
3.現在までの研究論文発表の検索模式図内の矢印)上で見つけた論文、および、1996年の論文を引用しているものを、citation情報で検索する。データベースは、できるだけ新しいデータを扱ったもの(PubMedやWeb of Scienceなど)を使用する。これにより、現時点までの主たる研究成果の全容を拾い上げることができる。研究分野の発展が速く、半年−1年といった速いサイクルで次々に新しい成果が発表されるような分野(生物学系では普通のこと)では、論文となったものだけでは完全に全容を把握しにくい場合が多い。その場合には、以下の横方向検索(傍系論文検索)を行う。また、ここで、検索された新しい論文をもとに、上の(2)の作業を行うことも効果的である。
4.関連研究の検索:図中の1992年、1996年、あるいは、新しく見つかった2001年の論文の中から、キーワード模式図内の矢印)、および、研究の中心となった著者名(最初の著者、あるいは、同様の論文を複数出している人物、模式図内の矢印)を抽出する。これらのキーワード・著者検索により、別の研究者によって発表された同分野の論文を抽出することができる。その研究が、どのような興味や観点で研究を進めているか(現在の自分の発想と同じか否かも)を調べることもできる。この検索には、できるだけ広範な内容や多くの研究雑誌を扱ったデータベースを使用するのが望ましい。
5.一般検索:一般的なinternet検索のためのサービス(Yahoogooleなど)を活用すると、論文以外にも、学会等の講演・口頭発表要旨、研究者間のやり取りや情報の掲示板、大学の研究紹介などの検索も可能となる。その中から、さらに研究者名やキーワードを選び出し、上の検索(4)をくり返す。ただし、これらinternet上に一般公開されている情報の内容は、*著作権が不明で、書かれている内容に対しての責任母体が明確でないものが多い


*学術情報としての信頼性がない
*サイトの永続性に欠ける
*参考情報として直接的な引用ができないものが多い点は、十分注意しなければならない。



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